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南川 史門 展

202210/22
202212/04

南川 史門

MtK Contemporary Artでは、10月22日より「南川 史門」展を開催いたします。

スプレーを手にフリーハンドで描くとき、画家の手は空中をかざすように動き、キャンバスに物理的に触れることはありません。「iPadのタッチスクリーンで、指をすばやく動かすと一瞬遅れて線が描かれるタイムラグ」に似た感覚がそこにある、と南川はいいます。ノズルから吹き付けられたアクリル絵具の粒子は宙を舞い、やがて着地点を定めてキャンバスに付着する——色を媒介する空気は、画家のすばやい動きと支持体をとり繋ぐ交渉の場となり、その微小な粒からなる出来事の集積が、色の滲み、垂れ、しぶきや濃淡となりイメージを構成していきます。音楽的なリズムとスピードをもつ軽快な絵画空間を作り出してきた南川にとって、絵筆を用いない空との戯れは、格好の遊び場なのかもしれません。

南川はこれまでも、行き交う人物像やファッションショーの写真、デモを報じる新聞記事など、情報メディアから都市空間に忍び込む流動的なイメージの断片を呼び込んできました。一見曖昧で、よそよそしくも奇妙なつながりを仄めかすこうしたモチーフは、薄く淡くのびるやわらかい筆致で描かれています。同時に、パステル色のストライプや鮮やかな蛍光色に塗られた連続したキャンバスなど、具象的なジェスチャーに抽象的なパターンを交差させながら、空間を再配置しています。それは、さまざまな記号が指し示す参照点から逃れ、空白の余韻を探し出すための試みであるとも言えるでしょう。

2 匹の陶製のこま犬と複数のキャンバスによって構成される本展では、無造作で無作為にみせかけたスプレーの跡が、壁面を空間を這うように流れていきます。それぞれに簡潔な構図は、運筆のリズムや抑揚、淡墨の滲みやぼかしを思わせる多彩な創意に溢れており、いつも慣れ親しんだ生活圏、あるいはこれまでの絵画のあり様から少しだけはみ出た領域で、既存のルールと戯れる巧妙ないたずらのようです。それは、日常の平穏を静かに撹拌する路上の落書きのように、街の景観のうちに差し込まれた絵画の戯れとなり、ホワイトキューブの文化的に空白の空間を活性化させています。

南川史門 | Shimon Minamikawa
東京生まれ。
2012年よりニューヨーク滞在。
2013-14年まで文化庁新進芸術家海外研修制度にて研修後、東京、ベルリン、ニューヨークを行き来しながら制作を行いう。2017年に帰国後、2021年より制作拠点を京都に移す。
2010年代以降を代表するペインターのひとりとして、東京都現代美術館リニューアル展「百年の編み手たち」(2019年)、ブランドホルスト・ミュージアム「Painting 2.0」(巡回:ミュンヘン/ルートヴィヒ財団近代美術館、ウィーン)(2015)を始め、新国立美術館、韓国国立現代美術館(果川館)、国立国際美術館、大阪(2014年)東京オペラシティーアートギャラリー、東京(2014年)、森美術館、東京(2013年)など国内外の展覧会にて作品が紹介されている。
本展では、2021年 MISAKO & ROSENにて開催された「Moves」展に続き、スプレーを使用した新作絵画シリーズを展示いたします。
会期初日には17時より、開催を記念してオープニングレセプションも予定いたしております。
レセプションには作家も在廊いたします。この機会に是非、お立ち寄りください。

展示会名
南川 史門 展
会期
2022/10/22-2022/12/04
オープニングレセプション
2022/10/22 17:00-20:00
作家名
南川 史門
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