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202511/12
202512/13

Bosco Sodi

Untitled, 2025 ©️ Bosco Sodi 撮影:表恒匡、協力:SCAI THE BATHHOUSE

 

MtK Contemporary Artでは11月12日(水)より12月13日(土)にかけて、ボスコ・ソディ個展『火』を開催いたします。初日である12日(水)には、16時よりオープングパーティーを開催いたします。11月14日(金)から16日(日)にかけて、国立京都国際会館(ICC Kyoto)にて開催される「Art Collaboration Kyoto」とあわせて、是非ご高覧いただけますと幸いです。

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赤はエネルギー、火、そして高潔の色である。

火は人類の進化とともにあり、私たちのDNAに息づいている。

生命の本質である火のエネルギーについて語りたい。

——ソディの展覧会ノートより

 

赤は火の色であり、火は生命の本質と結びつくとソディがいうとき、そこで提起されるのは、私たちの生がどこから来るかをめぐる問いである。ソディの直観は、火というエレメンタルなものの観点から考えるようにと、私たちを導く。ソディが述べているように、火は第一に、清浄の感覚と結びつくもので、何かが生れ出てくるまさにその始まりの領域を示唆する。火は火種から生じ、炎へと形成されていくのだが、その限りにおいて、そこに成り立つ火は、永続的でなく、いずれ消えていく。そのはかなさにおいて成り立つ火の精妙さに、ソディは魅了されているのだろうか。ところでソディの知的直観を通じて掴まれる思考は、日本の哲学者である西田幾多郎が、我々人間をも含めた生命の本質を、「我々がそこから生れる世界」との関連で考えるべきだと述べたときの直観と重なる。西田は、生命の形成の発端にある、生れるということがまさに起こるところとしての世界に思考を向けた。それは、我々の身体的自己が形成されるところでありながら、我々の身体的自己を越えたものでもあるという、矛盾的なあり方でしか考えることのできないものである。この領域は、知的直観で捉えることの可能な、カントのいう物自体の領域に属するものと考えることもできるだろう。そして西田は、人間の身体が生じるところでありながら事物が現れるところでもある世界を、人間存在の奥底にあるものとして考えようとする。これを参照することで、ソディの見解を、人間の存在の底にあると言われる、奥底の領域としての世界の観点から、考え直すことができるようになる。火というエレメンタルなものは、奥底という、つまりは闇と対峙するとき、その生命の強さが際立つ。火が、炎として、その清浄さにおいて生成するのは、奥底において展開する、表現作用に導かれてのことである。かくして、ソディが火に生命の本質を見るのは、そこにみずからの制作活動の本質があると考えるからだということができるだろう。

ボスコ・ソディ個展「火」によせて 文:社会哲学者 篠原雅武

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ボスコ・ソディ|Bosco Sodi

1970年メキシコシティ生まれ。現在、ニューヨーク、バルセロナ、ベルリン、メキシコシティにて活動している。近年の主な展覧会に、「Wet Snow」SACアートスペース・ベルテロ(ブカレスト、2025)、「Que veux-tu, Brique?」グラン=オルニュ現代美術センター(ベルギー、2025)、「Andares」カハス・カナリアス財団(スペイン、2025)、「La Rendición de la Materia」ソノラ美術館(メキシコ、2025)、「黙: Speaking in Silence」両足院(京都、2024)、HEM美術館(順徳、2024)、「Rock and Roll: Bosco Sodi」カーザ・ダス・ローザス館(サオ・パウロ、2024)がある。そのほか、デザート・エックス・アルウラ(サウジアラビア、2024)などの国際展にも参加している。また、メキシコ・オアハカ州に位置する本部をはじめ、メキシコシティ、東京を拠点とするアート・レジデンシー兼文化施設Casa Wabiを設立・運営している。主なパブリックコレクションに、金沢21世紀美術館、名古屋市美術館、ビクトリア国立美術館、サンディエゴ現代美術館、マイアミ現代美術館、スコットランド国立美術館、ライプツィヒ造形美術館、M HKA現代美術館、ドント=ダーネンス美術館、フォールリンデン美術館、プラハ美術館、フィリップス・コレクション、ドイツ銀行コレクション、IBMアート・コレクションなどがある。

展示会名
会期
2025/11/12-2025/12/13
開廊時間
10:00-18:00 日曜休廊
*初日11月12日(水)は16:00より開廊いたします。
オープニング・パーティー
2025年11月12日(水)16:00-18:00
協力
SCAI THE BATHHOUSE
作家名
Bosco Sodi
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