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きれいにこわれる|Onikai

202502/27
202503/15

神谷 徹

Onikai MtK Contemporary Artは、この度、神谷徹個展「きれいにこわれる」を開催いたします。

神谷の作品は、筆跡を残さない滑らかで鮮やかな色彩によって構成され、一見するとカラーフィールド・ペインティングを想起させます。しかし、神谷の作品を特徴づける、画面中央に向かって「陰影」のように見える繊細なグラデーションは、本来カラーフィールドでは排除されるべき絵画空間を生み出しています。これは、神谷の抽象絵画が、1950~70年代のアメリカを中心に勃興したモダニズムとは異なる命題を探究していることを示唆しています。

本展では、鉄や銅、錫、真鍮など金属の粉末をメディウムに混ぜ絵の具として使った、モノクロのグラデーションによる新作の絵画シリーズを発表します。
このシリーズは、空気中の酸素や水分との化学反応により赤錆や緑青を発生させ、経年により画面に変化をもたらし、絵画の物質的な側面を露呈させると伴に、時間の概念を絵画に付与しています。また、モノクロのグラデーションによって描かれた本シリーズは、光るシャンデリアを写真をもとに写実的に描いた初期作品《bloom》(2006)や、木漏れ日の中でベンチに座る人物像を描いた《gap》(2014)などの具体的なイメージを持つ具象作品と、グラデーションを用いた抽象絵画が、共に「光と影」を主題とする相関関係を持つことを明らかにしています。

時間を経て姿を変える絵画を表象し付けられた本展覧会名「きれいにこわれる」は、「きれい」と「こわれる」という、ポジティブとネガティブの相反するベクトルを持つ言葉の組み合わせにより、両義的な均衡を生み出しています。神谷の絵画もまた、異なる絵具同士の衝突と調和によって生み出され、まさに神谷はこのグラデーション(均衡)の中に、自身の死生観を見出そうとしているのかもしれません。

 

神谷 徹| Toru Kamiya

1994年 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。その後、アイルランド政府奨学生としてNational College of Art & Designへ留学。1996年より3年間の東京藝術大学助手を経て、1999年にダブリンのTemple Bar Gallery & Studiosにて滞在制作、2011年には文化庁在外研修員制度にてイギリス滞在。

主な展覧会に、「待合室」(ホテルアンテルーム那覇、沖縄、2021)、「ひらいてみよう 美術の扉」(府中市美術館、東京、2020)、「光と光が出会うところ」(府中市美術館、2009)など。

展示会名
きれいにこわれる|Onikai
会期
2025/02/27-2025/03/15
会場
Onikai MtK Contemporary Art
オープニングレセプション
2月28日(金)18:00 - 19:30
作家名
神谷 徹
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