The Threshold of Nonduality
山田 晋也
MtK Contemporary Artでは、1月23日(金)より2月23日(月・祝)まで、山田晋也による個展『The Threshold of Non-Duality』を開催いたします。なお、初日23日(金)は17時より、オープニングレセプションを開催いたします。ぜひお越しください。
光の届かない洞窟の中、あるいは瞼の裏に脈打つように蠢く影。山田の絵画は直感的で表象し難い艶かしい気配として立ち現れます。それは、前言語的な領域への接近であり、思考によって世界を理解しようとすることで後退していく、言語化しえない世界、その閾に触れる体験なのかもしれません。
絹、岩絵具、泥絵具、膠、水。それらを幾重にも重ねて絵画を制作する行為を、山田は「存在の膜」を描く試みだと言います。背面が透けるほど薄い絹本の上に蓄積された層は、明確な境界を持たず、互いに浸透し合いながら、絶えず揺らぎ続けています。この揺らぎを山田は、細胞の蠢きと重ねます。本展覧会「The Threshold of Non-Duality(不二へと至る閾)」が参照する「不二」とは、仏教思想、とりわけ禅の文脈において、主体と客体、自己と他者といった二元論的な分離や対立が立ち上がる以前の、分別を超えた在り方を示す概念です。日本の中世絵画や工芸において、この在り方は、余白や滲み、素材の物質性を重視する態度として現れ、世界を分節化せず、連続するものとして捉える思想と深く結びついてきました。また、そのあり方は東洋思想だけではなく、現象学的な視座とも接近します。
本展では、絵画は思考が始まる一歩手前の閾、その入口として、そっと佇み、鑑賞者は、意味を読み解く主体として作品の外に立つのではなく、見るものと見られるものが相互に浸透し合う関係の只中に立ち現れる存在となります。
山田晋也|Shinya Yamada
1974年京都生まれ。和装メーカー 豊和堂(京都市上京区)の制作統括として、国宝『衵』小葵浮線綾二重織を復元し熊野三山、和歌山県速水神社へ奉納(2001)、伊勢神宮へ『太陽と五十鈴川図』『月と五十鈴川図』『伊勢神宮天外図』奉納(2010)するなど数々の歴史的な重要染織品の復元、奉納をおこなう。2015年頃より染色工芸技術を使った独自の絵画作品の発表を始める。主な展覧会に「Pulse of Silence したたりとひたたり”Drip and Dwell”」両足院建仁寺山内(京都、2025)、「うちにあるもの ‒Representation」両足院(京都、2022)、「Pulse of Silence」COCON KARASUMA (京都、2021)などがある。
- 展示会名
- The Threshold of Nonduality
- 会期
- 2026/01/23-2026/02/23
- オープニングレセプション
- 1月23日(金)17時〜19時
- 作家名
- 山田 晋也





